終活 遺言書とは


終活 遺言書とは

遺言書のメリット

遺言書のメリット 遺言書とは、生涯を通じて築き上げた自分の資産を自分の考える通りに相続させたいと意思表示する文書で、法律上の効力のある文書のことです。生前、いくら自分の資産を自分の考えの通りに相続させたいと周囲に話しても、死後は自分でそれを行うことができません。そのため、法律で決められている相続人以外に資産を遺したくてもそれが実行される可能性はほとんどありません。しかし、遺言書を遺すことでそれが可能になります。但し、相続の権利のある者が全て資産の分割に合意すれば遺言書通りではない相続をすることができます。1人でも同意しなければ遺言書通りに相続されることになります。

遺言書がなく相続の権利のある者で遺産分割の合意ができないと民法が定めている規定に従って相続が実行されます。民法の規定に従って相続を行う場合も相続資産が現金のように全く同じ価値であれば分割も容易で争いは生じませんが、不動産やその資産では、少しでも将来値上がりしそうな物件、換金しやすい物件を巡って取り合いになるなどの争いが親族同士に起こることになります。遺言書で明確に誰に何を相続させると明確にしておくと遺言書には絶対的に従わないといけないので争いを避けることができます。

その他、特定の親族にのみ老後の世話をして貰った場合、その労に報いるために民法が定める相続分以上の相続をさせることもできるほか、民法が認めていない者にも相続させることができます。自分の築き上げた資産を自らの意思の通りに相続させたい、あるいは相続させないで寄付したいなどがあれば遺言書の作成は必要となります。


遺言書の種類

遺言書の種類 遺言書は、以下の3種類があります。

1)直筆証書遺言
自筆で書く遺言書です。他人に書いて貰ったり、ワープロで印刷したりすると無効になる可能性もあるので、自筆するのが望ましい遺言書です。書いた内容を秘密にしておくことができます。デメリットは、形式が整っていないと遺言書として無効になること、及び死後遺言書が見つからない、あるいは改ざんされてしまう危険性があることです。

2)公正証書遺言
全国に約300ある法務省所管の公証役場で証人2人以上の立会いのもとに遺言者が話した内容を公証人が遺言書として作成するのは公正証書遺言です。法律的に問題の無い遺言書が作成でき、原本が公証役場に保存されるので改ざんされる心配がありません。公正証書遺言の作成には、資産の額に応じた費用が掛かります。例えば500万円から1000万円までだと作成費用は17000円かかり、5000万円から1億円までは43000円の作成費用がかかります。

3)秘密証書遺言
1)で作った遺言書を公証役場に持参し、遺言書が存在することを公証人に証明して貰うのが秘密交渉証書です。この遺言方法はあまり利用されていません。

遺言書を作成することで法律を無視した相続人に相続をさせることができますが、法律は一定の相続人に対して一定の金額の相続をできるように「遺留分」という制度を設けて保障しています。「遺留分」は本来相続できる法定相続分の2分の1です。但し、配偶者や子がいなくて父母・祖父母のみが相続人のときは法定相続分の3分の1です。そのため、相続人の中で遺留分が認められる者が遺留分に満たないときは不足分を限度として請求できることになります。例えば、法定相続人が1人のみであれば、相続財産は遺言書がなければ、その1人が全額相続することになりますが、遺言書で法定相続人以外の第三者に全額相続させると書いても、法定相続人は2分の1の金額を相続することができます。

尚、遺言書は満15才以上であれば作成できます。未成年者の法律行為には親権者の代理または同意が必要ですが、遺言書の作成に関しては必要ありません。逆に親権者が遺言書の作成に関与するとその遺言書は無効になります。