終活 リビングウィルとは


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終活 リビングウィルとは

希望通りの死を迎えるためのリビングウィルとは 

希望通りの死を迎えるためのリビングウィルとは  リビングウィルは、「生前の意思」「活きている内に有効とする遺書」の意味で「無駄な延命治療をしないなどの意思」「葬儀の方法・内容に関する意思(親族のみで行う、質素に行うなど)」「臓器提供の意思」などの内容を自分の考えに応じて盛り込みます。自分の意思決定を明確に行える能力があるときに、これらの意思表示をしておくことで自分の希望通りの最期を迎えることができます。

リビングウィルが一般社会的な価値基準に照らして明らかに反するような事項に関しても、裁判所は個人の意思を尊重すべきという判断を示しています。これは、宗教上の理由で輸血を拒んだ患者に対し、医師がそれに反して輸血をした際に争われた裁判で東京高裁が下した判断です。リビングウィルがどんな事項にも優先するかどうかは別にして、個人の意思が尊重される=尊厳死選択の自由が強く認められるものであるべきことを示しています。

リビングウィルの問題点

厚生労働省が実施した2008年の調査では、リビングウィルに肯定的な考えを示す人の割合は約8割を超えています。しかし、欧米と異なり、日本には個の考えが確立していない、個人の意思を強く主張するより周囲に気兼ねした主張をするという社会的・文化的背景があります。そのため、日本では家族などの周囲に配慮したリビングウィルとするケースが多く見受けられます。そのため本当の意味の個人の意思が反映されていないという問題が残っています。もちろん、家族のことを考えて下す意思決定も本人の意思と考えられなくもないですが、死はゼロかイチの2つしかなく中間がないだけに、まず周囲に惑わされない本人の意思が強く反映されなければなりません。


リビングウィルの作成

リビングウィルの作成 リビングウィルの「葬儀の方法・内容に関する意思(親族のみで行う、質素に行うなど)」や「臓器提供の意思」は比較的簡単に自分の考えを明らかにすることができます。しかし、終末期の治療内容に関しては、どのような場合にどう行うかを意思決定することは医学の知識がないと輸血はしない、延命治療はしないなど単純な意思決定はできますが、同じ延命治療でも人工呼吸、胃ろう、高カロリー輸液、栄養・水分補給をどのような状態であれば行って、どんな状態であればしないなどは知識なしではとても意思決定できません。

宗教上の理由や個人の意思で治療さえすれば必ず生命は助かる可能性があっても、人の血の輸血は嫌と言うことで手術などの治療を受けないという意思を持つ人がいます。このようなケースは極めて特殊で、リビングウィルでもっとも大きな問題となるのは、一般的には病気やケガの治療ではなく、単に延命する目的のみの治療を望むのか、望まないのかの意思決定です。単に延命でなく、今の症状が少しでも良くなるか、ならないかが明白であれば意思決定も行いやすいのですが、今の症状が良くなる可能性があると言われて結果的に良くならないというケースでは判断が難しくなります。

しかし、それでも自分の意思を明確にしておくのがリビングウィルの目的です。リビングウィルは医学の中途半端な発達で、延命だけを行なう技術が発達して起きた問題で、一昔前には、全ての人が無理な延命を受けることなく自然死を迎えるのが普通でした。特殊な例かもしれませんが、リビングウィルを明確にしておかないと病院の経営目的、医師の医学的興味から延命治療が勝手に行われる危険性は全くのゼロではないと考えられます。そのため、本人がリビングウィルを明確にできない状態の場合、家族が本人の意思を常日頃の言動から確認するようにしておくことも必要と言えます。あるいは、本人がエンディングノートでリビングウィルを明確にしておくことが必要です。

尚、リビングウィルは当然、何度でも書き直しが可能です。入院中であれば、担当医師との連名で署名しておくといざという時に、希望する治療を受ける、あるいは全く受けないということが容易にできます。