自宅で最期を迎えるには


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自宅で最期を迎えるには

最期を自宅で迎えたいという人の率

最期を自宅で迎えたいという人の率 2012年に日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団が行った調査によると、余命が限られている場合は約8割強の人が自宅で最期を迎えたいという希望を持っているという。しかし、一方で現実は、自宅で最期を迎えられている人は1割強しかありません。約60年前の1953年では、自宅で最期を迎えた人は約9割弱であったので丁度比率が逆転しています。そして、このギャップがあるからか、せめて病院での最期を迎えるにあたっては、過剰な延命医療を拒否して自然死を迎えたいという願望を持つ人が増加しています。


国は高齢化社会を迎え在宅での医療を推進

国は高齢化社会を迎え在宅での医療を推進 国は、入院患者を退院させ、自宅で最期を迎えられる在宅医療を目指す意思を明確に表明しています。これは、国民が在宅で最期を迎えたいという要望をもっているのでそれを叶えるためではなく、将来、3人に1人が高齢者と呼ばれる超高齢化社会を迎えるにあたって、医療費の高騰を抑える、あるいは医療機関や高齢者施設に受け入れる余裕がないという受け入れ側の収容能力が不足するから在宅で最期を迎えるようにもっていきたいという発想からです。

そのために既に病院の長期入院患者に対する診療報酬を国が低下させているので、病院としては長期入院患者ではない入院患者を受けいれないと経営が苦しくなるため、長期入院患者を言葉は悪いですが、これ以上治療しても良くならないという理由で追い出すという事態が起きています。半世紀前と現在の日本の家庭事情が異なって、核家族化が進展し自宅では面倒をみることができる家族がいないので、簡単に病人を受け入れられない状況になっています。自宅で最期を迎えたい言う希望は叶いそうですが、一方で在宅医療できる環境が整っていない地域では今後、大きな問題となりそうです。自宅で患者の看護、介護ができず、また高齢者施設は順番待ちという現状で病院を転々とする患者がいます。

終活で自宅で最期を迎えたい、あるいは家族の負担を軽くしたいので病院や高齢者施設で最期を迎えたいと思っても、その両方とも叶えることが難しい時代となってきています。個人の希望だけでは、どうにもならない状況ですが、意思だけでも明確にしておくことは必要です。

尚、病院に長期入院もできず、高齢者施設にも入れないという地域、特に大都会では有料の老人ホームの一種、介護付きの老人向けマンションが増加していると言います。ここには、誰でもが入居できる訳ではなく高額な入居費用が必要なため生命保険を生前に受取るなどを活用しないと多くの人にとっては入居が難しいと思われます。安心できる老後には政治の力で高齢者の生活を社会的にバックアップする制度の創設が必要と強く感じられます。